2023年はM・C・エッシャー(M.C. Escher)の生誕125周年に当たる年です。エッシャー作品の世界最大のコレクションを保有するデン・ハーグ市美術館(Kunstmuseum Den Haag)とエッシャー・イン・ヘット・パレイス(Escher in Het Paleis)が、本年の祝典の中心となります。両者は力を合わせて、このオランダで最も偉大な版画家の生涯と作品を祝います。この機会にぜひハーグを訪問して、M・C・エッシャーの想像的な世界をご堪能下さい。
オランダで最も有名な版画家であるマウリッツ・コルネリス・エッシャー(Maurits Cornelis Escher)は、錯視と驚きをステージの中央に据えた想像的な世界により、年齢に関係なく人々を魅了します。エッシャーの版画は、お互いを描き合う2つの手、重力に逆らって上に流れる水、そして別世界への道を映し出す鏡など、風変わりな作品が特徴です。魚に変身する鳥たちや、永遠に続く階段などもそうです。エッシャーの絵は、実際に目が何を見ているのかを、頭では簡単には分からせてはくれません。そして当然のことながら、彼の遊び心にあふれた版画から、世界中の数学者や芸術家、建築家たちは、長年豊かなインスピレーションを得てきました。
デン・ハーグ市美術館
M・C・エッシャーは、かって存在した版画家の中ではおそらく最も有名な版画家です。この重要な回顧展は、イタリアの風景を描いた初期の作品から革新的なテッセレーションと錯視を巧みに利用した作品まで、彼の作品群を歌い上げ、その断面を写し出します。この展覧会では、ベルギーの建築家デュオ、ギス・ヴァン・ヴェーレンバーグ(Gijs Van Vaerenbergh)がコメントを加え、エミュレートし、思いをめぐらし、そしてイメージをふくらませたエッシャーの作品を見ることができます。芸術と建築が交差するこの驚くべきアーティスティックデザインは、M・C・エッシャーからインスピレーションを得て、このオランダの芸術家の作品との対話を始めます。
エッシャー・イン・ヘット・パレイス
エッシャーの125周年は、サミュエル・イェスルン・デ・メスキータ
(Samuel Jessurun de Mesquita)なしに語ることができません。装飾芸術と建築の学校に進んだエッシャーは、当初は建築術を学んでいましたが、間もなく版画の講師であったサミュエル・イェスルン・デ・メスキータ(Samuel Jessurun de Mesquita)によってその初期作品が認められると、進路が変更されました。イェスルン・デ・メスキータは彼を説き伏せて進路を版画に転向させたのです。二人のアーティストは生涯にわたって芸術面で、また人としても親交を深めました。この展覧会では、個性的なタッチで人々や動物を描写したイェスルン・デ・メスキータの心を揺り動かすグラフィックアートが彼の最も有名な生徒の作品と並んで展示されます。
エッシャー・イン・ヘット・パレイス
永遠性、不滅性、幻想、メタモルフォーゼ、投影、繰り返し。錯覚やだまし絵から紙の上の妄想、そして混乱の極みまで:エッシャーの世界はどこにでもあります。エッシャーと彼のテーマはポピュラーカルチャーと近代芸術に浸透しています。この秋の展覧会で、エッシャー・イン・ヘット・パレイスは、エッシャーが心から愛したテーマが現在でも人々から非常に愛されているという事実を証明してくれるカラフルアートを寄せ集めて展示します。